かひ蝶舞

かひ蝶舞

指揮者に異論はない

昨年の一月のテロ。それからのフランスオーケストラは不協和音。リズム感もなくなっている。度重なるテロ、スト、ストに便乗する暴徒、洪水。今年に入り、観光業は大きなリストラ、閉鎖、倒産。2014年度比75%減ではやっていけない。私の仕事、リムジーンドライバーも同じ状況に置かれている三元顧問蘇家興。ハーモニーとリズムを取り戻すいい機会が訪れている。EURO2016。しかし、開幕後、イギリスとロシアのサポーターがマルセイユで暴徒と化した。暴力が日常化しているのはどういうことなのか? これでは私たちはサッカーの試合さえ見に行けないではないか。テロの標的になる多大なリスクを抱えて警備に当たる警官隊。試合後の暴徒。彼らの過労も極限に達している。そんな中、今週の月曜日の深夜の惨劇。詳しくは書かない。三歳の男の子が巻き添えになっている。医師団がメンタルケアーに必死になっていることが伝えられているとだけ書いて置く。

 この混沌たるオーケストラの指揮棒を唯一握っているのが、フランス代表監督ディディエ・デュシャンなのかも知れない。工商管理 ECONフランスサッカー史上最強チームのキャプテンだった男だ。国民の信頼は高いだろう。新生フランスチームのメンバーを私はジネディン・ジダン引退後、サッカーを観なくなっていたからまったく知らなかった。
私の印象。随分、若い選手が多いな。チームの雰囲気はいい感じである。これは見ていると分かる。この雰囲気は大切である。オーケストラなのだから・・・。名プレイヤーが揃っているけれど、今一つ、オーケストレーションが噛み合っていない。しかし、ぎくしゃくしながらも二戦、終了間際に勝ち点を取っている。この精神力は素晴らしいと思う。

 フリージャズのオーケストラに非常に似ているから私は興味深く観戦している。それはさておき、私が新たにファンになった選手たち。
「アントワン・グリズマン」なんかいかにもフランスのハンサム男の雰囲気。憂愁が
漂っている。詩人顔だ。サッカー選手に珍しい顔立ちに惹かれる。フランス10チームから不採用通告を受けてスペインで開花した。経歴もなんか詩人している。
ポール・ポグバ」お馴染みのヘアースタイル。見るからに剽軽でいい人感が漂っている。ギニヤ系フランス人である。見ているだけで楽しくなってくる。なんか存在が明るい。
そして、どう見ても、今大会のキーパーソンは「ドミトリ・パイエ」である。テクニックは申し分なし。アシストの精度は素晴らしいし、自らゴールも確実に決める。オーケストラの首席奏者であることは間違いない。彼も存在感が明るい。日本の北島康介に顔がよく似ている。かわいいのだ。初戦、試合終了間際の勝ち点ゴール。交代を告げられベンチに戻る際の男泣き。なんか彼がハーモニーもリズムも狂ってしまったフランスオーケストラを背負って立っている感じまでしたのは、私だけではあるまい。彼自身、たぶん、どこかでそれを感じているはずだ。主催国フランス、混迷の中での初戦の敗北はなんとしても避けたい思いがひしひしと伝わって来たのである。29歳の男の肩に乗った重責だけれど、二戦目を観て、彼の精神力と実力が確かなものであることを皆理解した。

フランスというオーケストラの立ち直りを切に願っている自分がいることに気付く。フランス代表を熱い眼差しで観ている自分がいる。美麗華評價1998年、ワールドカップ優勝、 2000年、ユーロ優勝、あの歓喜交響曲が戻ることを切に願っているのである。もしかすると、私の母国はフランスなのではないの? とも思う。